2007年 2月 5日 (月) 03:17

インボリュートスプライン規格 JIS D 2001 の転位量
by 鶴城屋

インボリュートスプライン規格 JIS D 2001 の転位量について書いてみようと思います。


資料:高橋勝成 著 「歯ぐるま覚え書き」105ページより抜粋


|軸の歯に十分な強度を与えるため、転位量は0.8mとする。
|ただしコロガリ軸受の呼び内径に、呼び径dを一致させるため、
|次の転位量をとるものである。
|0.6m 0.633m 0.8m 0.9m 0.967m

|ちなみにここで挙げられた転位量を付表で調べてみると、
|全点525種類のうち0.8mは全体の98%を占め


とある…

以前までは +0.8mだけかと思ってましたが(^^;;;
0.8m以外もあると この本で知りました。


2006年 10月 31日 (火) 23:42

自動車用インボリュートスプライン規格 JIS D 2001
by 鶴城屋

JIS D 2001:1959

自動車用インボリュートスプライン
Involute spline for automobiles
1995-03-01 廃止


インボリュートスプライン規格について書こうと思います。
弊社にも よくインボリュートスプラインの加工がきます。
たいていは、旧JIS規格です。

「1995-03-01 廃止」とありますように、実際は廃止されて使わないようにしようとなっているんですが、現在の製造業現場においては、新JIS規格より 多く目にします。


新JISですと、PA30゜PA37.5゜PA45゜ですが、
旧JISは PA20°になります。
PA45゜だと、インボリュートセレーションと同様だと思ってしまうんですが…どうなんでしょうね?(^^;;


↓資料(旧JIS 圧力角20°)
http://tsuru-ss.sakuraweb.com/tsuru-ss/data/OLD_JIS_D_2001.xls

よく使われるもののみ記入してあります。
数値は「呼び径」を表しております。。。


※呼び径とは? = シャフト側の大径


2006年 10月 1日 (日) 02:12

熱処理「焼きならしと焼きなまし」
by 鶴城屋

機械加工の前処理として、熱処理をすることがあると思います。
私が駆けだしの頃、
特に疑問だったのは「焼きならしと焼きなまし」の違い( ゜Д゜)?


会長(親父)に聞いても「どっちも同じだろ」という答しか返ってこないw
よく似た言葉だから仕方ないのかもしんないけど(^^;;


金属材料を適当な温度に加熱し、その後 徐々に冷却する熱処理である。
機能的にはよく似ている…
説明としては「結晶を細分化して機械的性能を改善する」
まぁ簡単に言うと、
バラバラに分布してる結晶を再結晶させてやって、キチンとした結晶の状態にすること。

どうしてそういうことする必要があるのかと言うと…
鋼材は、熱間圧延後空冷をした状態であるのが普通だから。
(製鉄所のなかを 赤い鉄の棒が出てくるのは 熱間圧延しているのだ)

また、鍛造においても、冷間圧延にしても
外部からの加工により、どうしても鋼材内部に「応力」が発生する。

残留応力がある場合、別の熱処理(高周波焼入など)をした場合 焼き歪みの増大・焼き割れ が生じることになる。
 ...

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2006年 6月 25日 (日) 00:24

九大まで 「歯車」のことを勉強しに行ってきました。
by 鶴城屋

こんばんは!
昨日と今日の 金曜日土曜日にかけて、勉強しにいってきました。

これこれ↓

経済産業省事業「産学連携製造中核人財育成事業」

私が行ってきましたのは”歯車製造コース”
他にも”溶接設計コース”・”粉体加工コース”があるみた...

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2006年 5月 1日 (月) 00:39

角スプライン規格 JIS B 1601
by 鶴城屋


JIS B 1601:1996
角形スプライン ― 小径合わせ ― 寸法,公差及び検証方法
Straight-sided splines for cylindrical shafts with internal centering -- Dimensions, tolerances and verification


角スプライン規格について書こうと思います。

規格については JIS規格にて寸法値が定義されており、
設計および加工等も、この寸法値を参考にして行われております。


※用語解説
形 = 1形(経負荷用)と2形(中負荷用)があります。
スプライン幅 = その名の通り「幅」です。
大径 = スプラインの外側(山側)の直径値です。
呼び径 = スプラインの内側(谷側)の直径値です。
数 = スプライン溝の個数。等間隔に設置されるため、6以上が主。


シャフト側に スプライン加工をする場合、
ホブカッター(またはスプラインカッター)で切削する都合上
大径の寸法でセンバン加工をし、
呼び径の値まで切削していくのが一般的です。

穴側に スプライン加工をする場合、
キーシータやスロッター(またはブローチ盤)で切削する都合上
呼び径の寸法でセンバン加工をし
大径の値まで切削していくのが一般的です。


↓資料
http://tsuru-ss.sakuraweb.com/tsuru-ss/data/JIS_B_1601.xls


水色で囲っている数値が、ISO規格でも規定されているものです。
ISOでも使われているものが、多く使われているようです。


2006年 3月 23日 (木) 22:55

インボリュートスプラインとは? その2
by 鶴城屋

前回の記事で写真を載せてませんでしたので、補足です(^^


インボリュートスプラインというものは、
簡単に言うと ↓の写真のような ギザギザ形状のことです。



これは、M1.667 歯数25 の 自動車用インボリュートスプライン
です。



角スプラインというものは、

こんな形状のものです。(外側はスプロケット形状です…)

インボリュートスプラインに比べて、ギザギザの数が少なくなります(当たり前)

角スプラインで多いのは 8ミリ幅 6ミリ幅ですねぇ。
たまに 11.7ミリ幅っての見かけます。



これらの内径スプラインの加工には、
スロッター、キー溝盤、ブローチ盤 などで加工する方法が一般的です。


もちろん、
内径スプラインに入る シャフト側はホブ盤とかで加工します。


2006年 3月 15日 (水) 23:31

インボリュートスプラインとは?
by 鶴城屋


インボリュートスプラインとは…
簡単に言ってしまえば、インボリュート曲線を用いたスプラインです。


よけいわかりづらくなってしまいましたかね(^_^;


スプライン形状でよく使われるのは、角スプラインとインボリュートスプラインです。
角スプラインより溝の数が多いインボリュートスプラインのほうが、強度面では強くなりますが加工が難しくなります。


また
歯車にはモジュール規格とDP規格(ダイヤメトラルピッチ規格)があるように、
インボリュートスプラインにも、モジュール規格とそれ以外があります。

モジュール インボリュートスプライン
SAE ANSI インボリュートスプライン
DIN インボリュートスプライン

などです。



中でも加工中によくお目にかかるのは
「JIS自動車用インボリュートスプライン」ですね。
M1.667 転位+0.8 とかが多いです。(^^


たまに見かけるのが、SAE規格。
これはDP規格にあたるものですが「SAE 8/16」とか「SAE 16/32」とかを見かけます。

なんで分数で書いてあるの(?_?と疑問になってしまいそうですが、
8/16 =>0.5って訳ではありません。

これは「歯の大きさ」と「歯丈」が違うという表示
「SAE 16/32」ですと、歯の大きさDP16歯丈DP32の低歯形状になります。


次回に続く...


2006年 3月 12日 (日) 00:17

チタンの歯車(?_?
by 鶴城屋

前回の記事で、
カネゴンさんから貴重な情報を教えていただきました!(^^)

まとめ
---------------------------------------------------------------
・歯切りはステンレスとあまり変わらない
・旋盤加工の方が厄介
・材料費が高い
・ドリルが弱い
・穴の面相度が悪いくなる
---------------------------------------------------------------

次に、自分調べた情報(金属の特徴)
---------------------------------------------------------------
・密度は、鉄の半分程度(鉄の半分程度の重さ)
・ヤング率も、鉄の半分程度(銅に近い値)
・強度が高い
・熱や電気を通しにくい
・耐食性はステンレスより強い
---------------------------------------------------------------

実際、弊社では加工したことないので詳しくはわからないのですが、
熱伝導率が小さいことから考えられるのは切削油が重要だと予想します。

歯切りの場合、
小さいモジュールでしたら 削る領域も少ないので「熱」が発生するのは少量ですみますが、
大きいモジュールの重切削の場合は、「熱」の影響によるカッター刃物の磨耗が懸念されます。


同様に旋盤加工の場合、
ワーク高速回転時の切削「熱」の影響で 刃先がすぐ磨耗しそうです。

とまぁ、
机上の空論をこねてますが、実際わかりません(^-^;;



材料費はどれくらいなんでしょう…
ステンレスよりも高いでしょうね(当たり前)

うーん、加工してみたい材料です。


2006年 3月 4日 (土) 14:18

アルミの歯車って、あまり無いですよね?
by 鶴城屋

久々に「歯車について」更新です。

既製品の歯車カタログには、アルミ製の歯車は載ってないことが多いです。
何故でしょう…
鉄や真鍮よりも軽く 強度もそれなりにあるアルミですが、あまり使われているのを見かけません。


使われない == なんらかの問題が、性質上ある からです。
実際どんな問題があるかというと…
摩耗というか、歯当たりがすり減るとズルズルになり、下手すると歯が吹っ飛びます。


では、どうしてなのか!?

歯車の歯っていうのは、歯面が摺り合わさって回転を伝達しますよね。
アルミは摺り合わせの効率が悪いのです。
(簡単に言うと、滑らないので磨耗も激しい)

また、鉄系の材料と比較すると線膨張率が約3倍と大きい
ということも挙げられるかと思います。


以上のことから、アルミ製の歯車はあまり見かけません。
(というか歯車には不向きな材質です)

あるとしたら、表面処理で摺動性を高める必要がありますね(^^
タフラム処理とかしたものをたまに見かけます。


※タフラム処理とは? … アルミの表面処理のひとつ、アルマイトの硬さと優れた摺動性をアルミに与えることができる処理


2005年 9月 14日 (水) 01:45

モジュールって何ですか?
by 鶴城屋

そもそも、モジュールとは何?

一言で言ってしまえば、歯車の歯の大きさです。
数字が大きくなるほど、歯も大きくなっていきます。

特徴として、
モジュールが小さいものの方が、静かで回転も滑らか、伝達効率もいいです
ただし、小さい歯は当然弱いです。
(同じ直径の場合での話)


計算の仕方ですが、m=C/z です。
(m:モジュール z:歯数 C:ピッチ円直径)

歯数は、そのまんま…歯の数です。
ピッチ円直径というのは、歯の噛み合ったときの 理論上の円のことです。


センバン加工でよく使うのは、外径値なので、
モジュールと歯数から、外径を求めるには、d=m×(z+2)です。
(d:外径 m:モジュール z:歯数)

まぁ、実際削るときにピッチ円直径なんか考えないですよね。
外径で削りますし。。。


でも、設計のときは、ピッチ円直径が重要になります。
なぜなら 歯車同士の 軸間距離 に関係するからです。


とりあえず、こんなところでしょうか。。。
次回に続く(^^;;


2005年 9月 15日 (木) 00:12

モジュールはなんとなく分かったけど、DPとかCPとかは何? 似たようなものなの??
by 鶴城屋

DPとかCP も 歯車の規格(歯の大きさ)の一種です(^^

まず、DP(ダイヤメトラルピッチ)からですが、
これはインチ規格にもとづいたものです。
簡単にいうと
「1インチのピッチ円直径の歯車の中に、歯がいくつあるか」
となります。

モジュールの場合は、
「ピッチ円直径を歯の数で割ったもの」
だったので、数が大きくなればなるほど、歯も大きくなったんですが

DPの場合は、
逆に、数が大きくなればなるほど、歯は小さくなります。

計算式で表すと
C=(25.4 / DP)×z です。
(C:ピッチ円直径 z:歯数 1インチ=25.4ミリ)

外径だと
d=(25.4 / DP)×(z+2)
(d:外径 z:歯数)

に なりますね。


次にCP(サーキュラピッチ)ですが、
主に、ラックとピニオンギアの組み合わせで使います。

直線的なラックの上を ギアを移動させるときに
モジュールですと ギアを一回転させたときに整数値になりません。
計算式ですと
ギアを一回転させたときの移動量=π×m×z
(π:円周率 m:モジュール z:歯数)

これを、ぴったりの整数値にしたものがCPギアです。

ということで、
ギアを一回転させたときの移動量を、歯数で割ると 一つの歯あたりの移動量となります。
すなわち、一つの歯あたりの移動量をCPで表します。
(CP5 とか CP10 とか)

ピッチ円直径からではなく、一つの歯あたりの移動量から算出されたものと言えるでしょう。


まだまだ、次回に続く(^^;;


2005年 11月 12日 (土) 21:57

材質 及び、熱処理
by 鶴城屋

前回までは、歯車の用語説明ばかりやってきた感がありましたので、
今回は趣向を変えました(^^;


・材質
歯車を製作する場合、材質といっても様々あります。
鉄、ステンレス、アルミ、真鍮、樹脂、などなど
この中で、強度的に一番理想とされるのは、クロムモリブデン鋼です。
(いわゆる SCMとかSNCMとかです)
この材質の一番の特徴は、組織内部に「ねばる」特徴があり、
強力な力を伝達する歯車にはもってこいなのです。

反面、デメリットとしては
「ねばり」ため切削加工の難易度が高いことと、鋼材コストが高いことです。

剛性の高い機械装置には、
こういう剛性の高い歯車が用いられていると思います。


・熱処理
熱処理とは、金属に熱を加え組成を変化させることです。
一般的に「焼き入れ」と呼ばれているものに当たります。
主に硬度を上げたり、応力を取ったりするのに用いられます。

前述に挙げた歯車などは、歯面の噛み合う部分には強力な力がかかってきます。
そのとき、歯面の硬度が低いと すり減って摩耗していきます。
ひどい場合は歯の欠損に繋がります。

ただし、
硬度が高いだけで ねばりが無ければ、ポッキリと折れてしまう場合があります。

なので、
歯面は硬度は高く、歯車内部は ねばりがある…こういう歯車が強度的に良いと言われております。



ちなみに、弊社では 普段からSCM材を加工しているので、
「ねばり」ため切削加工の難易度が高い? とは 全然感じません(^^;;
アルミとか真鍮のほうがよっぽど難しいと感じますね…


ではでは、次回に続く…


2005年 10月 16日 (日) 21:20

歯車の種類には何がありますか?
by 鶴城屋

「歯車について」…久々に更新です。

歯車の種類には何種類かに分類されます。
設計上からみた分類の仕方として、歯車軸による分類の仕方があります。


1. 二軸がお互い平行である歯車
  平歯車(スパーギア)
  はすば歯車(ヘリカルギア)
  内歯車(インターナルギア)
  ラック&ピニオン

2. 二軸が一点で交わる歯車
  すぐば傘歯車(ストレートベベルギア)
  曲がり歯傘歯車(スパイラルベベルギア)

3. 二軸が平行でもなく交わりもしない歯車
  ねじ歯車
  ウォームギア
  ハイポイドギア


「二軸がお互い平行」というのは、
動力を平面平行方向に伝達・増減速にするものです。
円筒歯車とも言われます。
比較的設計も易しく、イメージも想像しやすいです(^^

「二軸が一点で交わる歯車」とは、
ベベルギアに代表されるように、二軸の角度を自由に変更できます。
実際は直角に交わる物がほとんどですね。
また、傘歯車の歯数が同じ物同士で 直角に噛み合うものを、マイタ歯車 といいます。

最後に「二軸が平行でもなく交わりもしない歯車」とは、
軸をねじれさせてたものです。
特にウォームギア&ウォームホイルの組み合わせだと、大幅な減速が出来ます。
また、自動車のトランスミッションによく使われるのが、ハイポイドギアです。
これは、傘歯車の交わり点をずらした構造になります。
これも大幅な減速用として使用されるのが多いです。


次回に続く。。。






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